和名(Japanese Name):オチバトマヤタケ (Ochiba-tomayatake)
Subgenus Inocibium, Section Tardae
Section Tardae Bon, Sydowia, Beiheft 8: 86. 1979. : 胞子は平滑で、楕円形/卵形/アーモンド形。縁と側のシスチジアはメチュロイド。柄シスチジアは無いか頂部のみで厚壁。
<資料> 2008/10/13,神戸市北区山田町にて採取された成菌3個について記載 (Herb. No.25)
Inocybe flocculosa は、今井三子博士が日本での記録を最初に発表したきのこで、オチバトマヤタケの和名はImai (1939)によって付けられた。小林孝人氏が、その標本を調べ、確かにInocybe flocculosa であると確認している。また、小林氏と本郷氏は、1993年に滋賀県大津市からの再発見を報告(Ref.4)している。また、小林氏はRef.1で、北海道、滋賀県、山梨県などでの記録を報告しているので、結構全国的に分布していると思われる。この同定が合っていれば、神戸市北区の丹上山系でも複数箇所でこの種の発生を確認しているので、兵庫県内でも普通に発生していると思われる。
なお、新菌類図鑑などでは、オチバトマヤタケの和名を I. neoflocculosaとしているが、小林先生によると、今井博士が命名したのは、I. flocculosaなので、こちらをオチバトヤマタケとすべきとの事です。
褐色で繊維状の細鱗片で覆われる傘と、白色菌糸を持ち、褐色の柄を持つ。傘にも柄にも紫彩がないことから、I. cincinnata (クロトマヤタケモドキ)などのLilacinae節と区別できる。
傘: 15-25mm, 全面が放射繊維状で、特に中央部から多少立ち上がるが、殆ど平滑の個体もある, 黄土褐色〜栗褐色
ヒダ: やや離生〜湾生
柄: 頂部のみやや白っぽく、粉状で、以下は褐色で、白色繊維が表面に付く。中実〜中空。
Spores
胞子: 8-11(-11.5) x 4.8-6(-6.3) um, Q=1.5-2.0(-2.2), (Vm.=20)
Kuyper(1986): (7.5-)8-10.5 x
4.5-6.0 um
Ref 2: 8-11 x 5.5-6(-6.5) um
Ref 4: 7.5-10.5(-11.8)
x 4.8-6.2 um, ellipsoid to ovoid, yellow-brown in KOH.
Basidia (担子器):
Ref 2: 28-32 x (7-)8-10
um
Ref 4: 22-30 x 8-10 um
Cheilocystidia
(縁シスチジア): 34-60 x 11-20 um, Vm=10, 厚めの厚膜メチュロイドで、紡錘形が多いが。希に太鼓腹形なども混じる。それを多量の棍棒形、卵形、円形の薄膜パラシスチジアが取り囲む。
Ref
4: 38-65 x 10-20 um, fusiform with a short pedicel, thick-walled
(-2.6um); Cheilo-paracystidia: 17-34 x 6-15 um, narrowly clavate to obovoid, abundant.
Pleurocystidia (側シスチジア): メチュロイドで頂部に結晶を持ち、50-71 x 11-20 um (Vm.=10),紡錘形〜狭紡錘形。
Ref 2: 50-80 x (11-)12-22 um
Ref
4: 50-67 x 12.5-20 um, narrowly fusiform to fusiform with a short
pedicel, thick-walled (-2.6um)
Caulocystidia
(柄シスチジア): 頂部のみにあり、メチュロイドで、パラシスチジアも多数。
Ref
4: on apex of stipe, 49-58 x 13-16 um, fusiform to narrowly fusiform
with a short pedicel, abundant; on middle to base of stipe absent.
採集地: 神戸市北区山田町 10月
References:
1. The
taxonomic studies of the genus Inocybe (T. Kobayashi) No. 54
2. Die
Gattung Inocybe in Bayern No. 36
3. Fungi of Switzerland Vol. 5, No. 17
4. Trans. Mycol. Soc. Japan 34 : 507-510, 1993
Other
Descriptions and Photos:
考察:
縁のパラシスチジアの形状と大きさが一致するのかよく分らなかったのですが、ほぼ合っているようです。
このSec. Tardaeには類似種が大変多く、きちんと同定するのはとても難しいと感じます。
I.
neofocculosa:
Spore 6.4-8.8 x 3.6-5.0 um, Q = 1.6-2.0
Pl: 68-70(-89) x 10.7-20 um
よって、I. neoflocculosaは、小さい胞子と、より細長い側シスチジアを持つ。
Latest update: 2008/12/02