Inocybe geophylla (Pers.) P. Kumm., Führ. Pilzk. (Zwickau): 78 (1871)

和名(Japanese Name): シロトマヤタケ (Shiro-tomayatake)
Subgenus Inocibium (クロトマヤタケ亜属), Section Tardae

神戸市内でもごく普通に見られる、全身が真っ白のアセタケ。肉眼でのI. umbratica (シロニセトマヤタケ)との区別はとても困難だが、シロニセトマヤタケの方は、子実体が大きめ、柄が長く傘の尖りが顕著、柄の基部の膨らみが大きい、などの特徴があるようだ。また、シロトマヤタケの子実体はより丈夫で、柄には縞線模様が入り、コルチナの名残があるのに対して、シロニセトマヤタケではコルチナの名残を見たことがなく、柄の表面全体が細かい粉状となっている点も違いとしてあげられると思う。また、シロトマヤタケは無臭だが、シロニセトマヤタケはアセタケ臭がする点もポイントなりそう。なお、検鏡すれば、胞子の形ですぐに違いは分る。シロトマヤタケは平滑な胞子で、シロニセトマヤタケはコブ状の胞子をしている。
また、国内では未確認の I. whiteiとの区別も、特に若い子実体では難しいが、こちらは傷ついたり古くなると赤みを帯びることで区別が出来るようだ。

肉眼的特徴:

傘: 白色。径は20mm以下、最初円錐形から、のちやや中高に開く、絹状の光沢がある。

ヒダ: 上生~離生

柄: 30 - 40 x 3 - 4 mm、中実、やや基部が太まるがカブラ状にはならない。表面はごく上部のみが粉状、縦の溝線、褐色のコルチナの名残がある。

他の子実体の写真は、Galleryに置いています。

顕微鏡的特徴:

Spores 胞子: 先端があまり尖らない楕円形, 8.3-9 x 4.6-5.2um, Q=1.7-1.9 (Vm=20)
Ref. 1: 7.5-10 x 5-6.2um, Q=(1.4-)1.7-2.0
Ref. 2: 9-11 x 5-6um
Ref. 3: (7.5-)8-10.5 x 4.5-6um
Ref. 4: 7.5-10 x 4.5-5.6um; Q=1.6-2.0; Vm:226

Cheilocystidia 縁シスチジア: 典型的なアセタケ形。46-57 x 11-17 um, 紡錘形で厚膜のメチュロイド。薄膜のパラシスチジアも多数あり。
Ref. 2: 45-60 x 11-15um
Ref. 4: 30-65 x 10-19um, wall 1-2um thick

Pleurocystidia 側シスチジア: 縁シスチジアに似る。

Caulocystidia 柄シスチジア: 頂部のみで見られ、メチュロイドで結晶を付ける。パラシスチジアも一緒に見られる。

採集地: 神戸市北区、西区 10月~11月

References:
1. The taxonomic studies of the genus Inocybe (T. Kobayashi) No.58
2. 原色日本新菌類図鑑 No.376
3.Die Gattung Inocybe in Bayern No.43
4. Fungi of Switzerland Vol. 5, No.21
5. Saccardo, P.A. Sylloge Fungorum V: 784 (1887)

Other Descriptions and Photos:
1. California Fungi
2. MushroomExpert.com
3. BioImages


Latest update: 2009/8/30