Inocybe oblectabilis (Britzelm.) Sacc., Syll. Fung. 11: 54, 1895
和名: コブミノオオトマヤタケ

Subgenus Inocybe(クロニセトマヤタケ亜属), Section Marginatae(マルギナータ節)

本種は、2003年に小林孝人氏によって新産種としてMycoscienceに発表された種で、国内の図鑑には掲載されていない。ドイツの図鑑、Die Gattung Inocybe in Bayernには、掲載されている。
本種は、柄の基部まであるメチュロイド、こぶ状の胞子、柄の基部が膨大するなどの特徴から、Marginatae節に属し、神戸市周辺の公園内で普通に見られる種である。外見的にはカブラアセタケによく似るが、子実体がずっと大きく、胞子の形が異なる。

<資料> 2009年7月4日 神戸市北区 青少年公園 ディキャンプ場周回道にて採取された成菌5個体について記載 (SO-I090704A)

肉眼的特徴:

傘:径23-36mm, 中高−平らに開く,表面平滑, 放射繊維状, 縁部長く割裂し、溝線状、黄土褐色〜暗黄土褐色、中央やや濃色。
柄: 31-62 x 4.8-7.4mm, 類白色〜淡褐色、基部は膨大する



2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 2009.7.4 神戸市北区 青少年公園


2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 2009.7.4 神戸市北区 青少年公園


顕微鏡的特徴:


胞子:8.8-11(-12) x 7-8.5um, Q=1.1-1.4, やや低めで多数のコブで覆われる。コブの高さは1-1.5um, コブの数は外周で5-8個、内面に2−4個ほどが見える。
担子器:20-29 x 8.2-11.8um
縁シスチジア: 厚膜(2-3.5um)のメチュロイドタイプで頭部に結晶を付け、39-52(-60) x 15-19(-21) um, 紡錘形、広紡錘形、太鼓腹型。
縁パラシスチジア: 棍棒型〜広棍棒型、薄膜で多数。
側シスチジア: メチュロイド、50-64(-68) x 16-21 um, 紡錘形
柄シスチジア: メチュロイド、39-50 x 12-20 um. 太鼓腹型 - 紡錘形、薄膜のパラシスチジアが混じる。



Spores
胞子
Cheilocystidia
縁シスチジア
Pleulocystidia
側シスチジア

Caulocystidia
柄シスチジア


採集地: 2009年7月4日 神戸市北区 青少年公園 ディキャンプ場周回道

考察:
 カブラアセタケ(I. asterospora) と外見上はよく似るが、子実体が大きく、胞子の形が異なる。
 また、ニセアセタケ(I. praetervisa)ともよく似るが、ニセアセタケは傘の色がキヌハダトマヤタケ(I. cookei)のような黄色。
 日本きのこ図版 No.1701 コブツノニセアセタケ(青木仮称)は、本種ではないかと思われる。

Memo:

標本: SO-I090704A

References:
1. Mycoscience (2003) 44:383-388
2.Die Gattung Inocybe in Bayern No. 119

Latest updates: 2009/9/15