Subgenus Inocybe(クロニセトマヤタケ亜属), Section Marginatae(マルギナータ節)
本種は、2003年に小林孝人氏によって新産種としてMycoscienceに発表された種で、国内の図鑑には掲載されていない。ドイツの図鑑、Die Gattung Inocybe in Bayernには、掲載されている。
本種は、柄の基部まであるメチュロイド、こぶ状の胞子、柄の基部が膨大するなどの特徴から、Marginatae節に属し、神戸市周辺の公園内で普通に見られる種である。外見的にはカブラアセタケによく似るが、子実体がずっと大きく、胞子の形が異なる。
<資料> 2009年7月4日 神戸市北区 青少年公園 ディキャンプ場周回道にて採取された成菌5個体について記載 (SO-I090704A)
傘:径23-36mm, 中高−平らに開く,表面平滑, 放射繊維状, 縁部長く割裂し、溝線状、黄土褐色〜暗黄土褐色、中央やや濃色。
柄: 31-62 x 4.8-7.4mm, 類白色〜淡褐色、基部は膨大する
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2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 | 2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 | 2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 |
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2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 | 2009.7.4 神戸市北区 青少年公園 |
胞子:8.8-11(-12) x 7-8.5um, Q=1.1-1.4, やや低めで多数のコブで覆われる。コブの高さは1-1.5um, コブの数は外周で5-8個、内面に2−4個ほどが見える。
担子器:20-29 x 8.2-11.8um
縁シスチジア: 厚膜(2-3.5um)のメチュロイドタイプで頭部に結晶を付け、39-52(-60) x 15-19(-21) um, 紡錘形、広紡錘形、太鼓腹型。
縁パラシスチジア: 棍棒型〜広棍棒型、薄膜で多数。
側シスチジア: メチュロイド、50-64(-68) x 16-21 um, 紡錘形
柄シスチジア: メチュロイド、39-50 x 12-20 um. 太鼓腹型 - 紡錘形、薄膜のパラシスチジアが混じる。
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Spores 胞子 |
Cheilocystidia 縁シスチジア |
Pleulocystidia 側シスチジア |
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Caulocystidia 柄シスチジア |
採集地: 2009年7月4日 神戸市北区 青少年公園 ディキャンプ場周回道
考察:
カブラアセタケ(I. asterospora) と外見上はよく似るが、子実体が大きく、胞子の形が異なる。
また、ニセアセタケ(I. praetervisa)ともよく似るが、ニセアセタケは傘の色がキヌハダトマヤタケ(I. cookei)のような黄色。
日本きのこ図版 No.1701 コブツノニセアセタケ(青木仮称)は、本種ではないかと思われる。
Memo:
標本: SO-I090704A
References:
1. Mycoscience (2003) 44:383-388
2.Die Gattung Inocybe in Bayern No. 119
Latest updates: 2009/9/15